子育て⑱:「人に迷惑をかけるな!!」その叱り方が子供をダメにする。

仁の子育て論

あなたは自分の子供が周りに迷惑をかけてしまった時、どんな叱り方をしますか?
どんな注意の仕方をしてますか?

多くの親や大人たちが、
「他人に迷惑をかけるな」
「周りの人の気持ちをよく考えろ」
こういった感じで叱ったり注意したりすると思います。

確かに周りに迷惑をかけてしまうのは、良いことではありません。他人の気持ちを考えながら行動することも、当然覚えていかなければなりません。

でも実は僕、こういった叱り方や注意の仕方が日本人をダメにしてしまっているのではないかと考えているんです。今回は、子供が周りに迷惑をかけてしまった時、どう注意すればいいのかについて考えていこうと思います。

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「他人に迷惑をかけるな」という叱り方が日本人をダメにした

その時の状況などもあると思いますが、基本的に他人に迷惑をかけるのは良いことではありませんよね。みんなが周りのことも考えず好き勝手やっていたら、それこそ大変なことになってしまいます。
これについては、誰も異論は無いと思います。

でも僕は子供を注意する時、基本的に「他人に迷惑をかけるな」という言い方はしません。
どういう言い方で注意するのかというと、「自分の行動(行為)が人として正しいと思うかどうか?」という言い方をします。

なぜこういう言い方で注意するのかというと、「他人に迷惑をかけてはいけない」という考え方こそが日本人全体を萎縮させ、日本人の自己肯定感を下げる要因になっているのではないかと思うからです。

 

もちろん他人に迷惑をかけないほうが当然いいに決まってます。
でも、誰にも迷惑をかけずに生きることの出来る人なんて、ひとりもいません。

僕らは生まれた時から、周りに迷惑をかけ続けています。
生まれたばかりの赤ん坊の時は、何もできません。寝返りすらうつことができません。常に親や身近な大人に見守ってもらい、手をかけてもらわなければ生きていくことすらできません。

大人になってからもそうです。
社会人になり働き始めても、上司や先輩に教えてもらわなければ仕事も出来ません。失敗をすれば、周りにフォローしてもらわなければなりません。

歳をとればとったで、子供や周りの人間にいろいろ世話してもらわなければならなくなります。

みんな必ず誰かの手を借り、誰かに迷惑をかけながら生きているんです。極論すれば、自分が生きていること自体、周りに迷惑をかけ続けているのです。迷惑をかけないほうが当然いいんですが、誰にも全く迷惑をかけずに生きていくなんて、そもそも無理なんです。

でも僕ら日本人は、とにかく「他人に迷惑をかけるな」という叱り方をします。「他人に迷惑をかけること=悪」という考え方をします。

その結果僕ら日本人の多くは、極端に他人の目を気にするようになりました。他人の目を恐れ、みんなから外れないようにし、自己主張も自己表現もしなくなりました。

常に周囲の目を気にし、人に迷惑をかけた人間を見つけてはみんなで一斉に責め立てる。逆に自分が人に迷惑をかけるようなことがあれば、隠したりごまかそうとしたり、人に罪をなすりつけようとする。また、人に迷惑をかけてしまえば必要以上に自分を責め、自信を失ってしまう。

その結果僕ら日本人は、「人にどう見られているか?」ということばかりを意識し、それを中心に考えるようになりました。
すると、中にはこう考える人間も出てきます。

「誰も見ていなければ、ズルや悪いことをしたっていい」
「他人に迷惑さえかけなければ、何をしたっていい」

つい、無意識にそう考えるようになってしまうんです。

もちろん日本人みんながそうだなんて、言ってるわけではありませんよ。でも “他人の目” や “他人の評価” を中心に物事を組み立て始めると、そうなってしまう危険が非常に高くなっていくのです。

だから善悪や行動の基準を
「他人からどう思われるか?」
ではなく、
「それが人として正しいか?」
にしていかなければならないんです。

 

人は生きている限り、必ず他人に迷惑をかけてしまいます。もちろん迷惑をかけないに越したことはありません。ですが、”迷惑をかける=悪” と考えないでほしいんです。

人はみんな人生の中で、たくさんの失敗を経験します。ですが、失敗をして痛い思いや悔しい思いをするからこそ、人は進歩し成長していく。どうやれば上手くいくのか、頭や体を使って試行錯誤するからこそ、人は賢くなっていける。

また、いくら正しく生きていこうとしても、過ちを犯してしまうことも必ずあります。良かれと思ってやったことが裏目に出てしまい、むしろ周りに被害を与えてしまうこともある。また、それが間違っていると頭で分かっていても、つい楽な方へと流れてしまうこともある。

でもそれが、人間なんです。

 

迷惑をかけたっていいんです。
もちろん 「迷惑をかけても何とも思わない」 というのは間違ってますよ。ただ、迷惑をかけてしまったのであれば、それをちゃんと認識し、二度と繰り返さないよう反省すればいいんです。謝る必要があるのなら、相手にきちんと謝ればいいんです。迷惑をかけたから自分はダメな人間なんだ、なんて思う必要はこれっぽっちもないんです。

そして自分と同じ過ちを犯した人がいたなら、それをフォローし、助けてあげればいいんです。自分が周りに迷惑をかけたのであれば、その分今度は自分が周りの人間を助けてあげればいいんです。

そしてそのことを、子供達にも伝えてほしいんです。
間違ってもいい。
失敗してもいい。
迷惑をかけること自体は決して悪いことではない。
大事なのは、人からどう思われるかではなく、人間として正しいかどうか。
人から見られてなくても、自分が正しいと思うことをやれるかどうか。

そのためにも子供の行動を叱ったり注意したりする時は、
「人に迷惑をかけるな」
ではなく、
「その行動は、自分が人として正しいと思うかどうか?」
という注意の仕方をすべきだと、僕は思うのです。

「自分の行動が人からどう思われるか?」
「人に迷惑をかけなければOK」ではなく、
どんな時でも 「人として正しいと思うことの出来る人間」になってほしい、僕はそう思います。

 

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メッセージ

  1. りりぃ より:

    初めまして。
    ずっとモヤモヤしていましたが、この記事を読んでスッキリしました!
    小さな頃から日本ではこの「他人に迷惑をかけるな」のメッセージがあちこちに溢れています。
    他人の目ばかり気にしてたら、生きるだけで萎縮し、ヘトヘトになりますよね。
    迷惑をかけていい、失敗してもお互いにフォローし合えばいい、この視点がすごく心地よく響きました^ ^
    なんだか心が軽くなって嬉しい。記事に感謝です!

    • 仁(jin) より:

      りりぃさん、初めまして。
      メッセージありがとうございます。

      日本人って自分の失敗をフォローしてもらった時なんかも、よく「すみませんでした」って謝りますよね。
      でも僕は謝るのではなく、「(フォローしてくれて)ありがとうございます」と、謝罪ではなくお礼を言います。

      完璧な人間などいません。
      一度も失敗をしない人間も、もちろんいません。
      人間は、失敗するから賢くなる。
      むしろ失敗によって、より大きな学びを得ることが出来ると僕は思っています。

      特に子供は社会に出る前に、いっぱい失敗していっぱい学ばなければいけない。
      そのためには、失敗を恐れさせてはいけない。
      失敗を恐れさせると、子供は行動しなくなる。
      せっかく目の前にチャンスが転がっていても、チャレンジしなくなる。
      だから「失敗=悪」と教えては、絶対にいけないんです。

      僕ら大人だって、いっぱい失敗する。
      自分だって失敗するし、周りの人間だって同じように失敗する。
      だから、失敗した時はお互いにフォローし合えばいい。
      自分だって常に完ぺきなわけではないのに、他人が失敗した時に責めるのもおかしな話ですよね。

      他人の失敗をみんなでここぞとばかりに責め立てるのではなく、お互いに助け合い、フォローし合える、そんな社会にしていきたい、そんな日本にしていきたい、僕はそう思います。

      仁より